なぜ大学教員の身分で会社を設立したのか?理由と背景など

雑記

2023年3月1日に株式会社MotorAIを設立してから1か月が経ちました。

株式会社MotorAI
AIを活用したモータ受託開発と製品・サービスの開発事業を展開する株式会社MotorAIです。

この1か月で色んな人から「なんで会社を設立したんですか?」と尋ねられました。様々なタイミングが重なって会社設立に至ったので、MotorAIが何をする会社なのかも含めて、思考の整理がてら設立理由や背景をまとめます。

MotorAIの2本の柱

MotorAIのビジョンは、「モータ・パワーエレクトロニクス分野のすべてのデータを知識に変える」です。そのビジョンのもと、現在は2つの事業に取り組んでいます。

1つ目は、AIを活用したモータ設計受託開発です。今やデータ解析や機械学習は、全ての技術者が兼ね備えるべき標準的な技術になりつつあります。他方、モータ分野でどのようにAIが役に立つかがわからない、といった声も多く耳にします。そのため、私自身でモータ設計を受託し、AIを活用して開発を実施することで、モータ設計開発にAIを活用するとこんなおもしろいことができるんたよ!と社会に発信できればと思っています。

2つ目は、モータ設計AIを活用した製品・サービスの開発事業です。こちらは私のアカデミアでの研究の社会実装に位置する内容で、モータ設計AIの開発とそのWebアプリケーションを開発します。数年以内のアプリケーションの公開に向けて、尽力して参ります。

会社設立の一番の目的は「選択肢を増やすため」

続いて会社を設立した背景についてです。私は人生の指針の一つとして、選択肢を増やす行動をとる、ということを心がけています。会社を設立し起業家の立場になることは、未知の世界で新たな経験を積める、技術の社会実装まで挑戦できる、他人を雇用できる、仕事を通して新しい出会いがある、など選択肢を増やすことにつながります。もちろんリスクもありますが、それを差し引いても選択肢を増やすことのメリットの方が大きいと判断して、会社の設立に至りました。

もう少し具体的な会社設立の背景やきっかけについて、雑多ですが列挙していこうと思います。

人との出会い

元々私は起業に興味があって、博士後期課程の学生時代から大学のアントレプレナー関連のイベント等に参加していたり、自身の研究を事業化するにはどうすればいいか、みたいなことを常日頃から考えていました。

ですが、授業の中でお遊び的にビジネスモデルを検討するのと、いざ起業への一歩を踏み出すのは天と地ほどの差があります。「どうやって会社を作って何から始めればいいんだ?」「会社を作ったとして最初の売り上げはどうしたらいいんだ?」この2つの疑問が解決できず、結局学生時代は起業まで踏み出せませんでした。

そんな中、2021年の産業応用部門大会で横国大の赤津先生、2022年の産業応用部門大会でポニー電機の長井さんと出会い、二人の支援により会社を設立するに至りました。具体的には、長井さんには共同代表として「どうやって会社を作って何から始める」の部分を、赤津先生には技術顧問として「最初の売り上げ」の部分を解決してもらいました。この二人との出会いが直接的な創業のきっかけで、二人には感謝してもしきれません。

モータ設計者としての経験を積みたい

私の専門はモータ・パワエレ分野でのAI応用ですが、自身の知識不足・実力不足を常日頃から痛感しています。特に、私の分野は産業分野と密接で、大学研究室に閉じこもっていても革新的なモータが作れる訳がありません。そこで、モータ設計者としての経験を積む手段の一つとして、設計業務受託を始めました。アカデミアでの研究とは異なり、受託開発は現場の設計者の生の声を聞くことができ、勉強になることばかりです。

自分の研究を社会実装したい

大学研究者の責務の一つは、論文を書いて社会の技術発展に貢献することです。私も大学研究者の端くれとして論文を継続的に執筆していますし、何ならこの技術ブログやらその他学会活動等、精力的に社会の技術発展に貢献している方だと自負しています。が、研究成果を論文等で発表するだけで直接的に社会が変化する訳ではないので、何か直接的に研究成果を社会実装したいなと常々思っていました。そこで、私の「モータ設計AI」を社会に普及する手段として、会社を興すに至りました。

若手研究者の不安定な雇用

こういう理由ももちろんあります。アカデミアの若手研究者は不安定な雇用状態にあり、私も5年で首を切られる立場です。また、アカデミアの世界で所望のポジションが空くかどうかは運の要素も大きく、関連分野の先生が退任し、大学が後任人事を必要とし、かつその限られた枠に採用される必要があります。特に現在の日本の大学は、少子化の影響もあり厳しい状況です。そんな中で、人生の選択肢を増やし、自身のキャリア形成への運要素を限りなく減らすため、2足の草鞋を履くことを決意しました。

社会的なスタートアップ支援の流れ

最近の内閣府はスタートアップ支援に積極的で、補正予算でスタートアップや大学発ベンチャー、大学若手研究者の産学連携支援など、金額的にも大規模な支援を計画しています。このビックウェーブに乗るしかない!と思った側面もあります。

人を雇用することへの挑戦

私のメインの研究はこれまで個人で行ってきましたが、私一人で行えることの限界を常々感じており、サポートしてくれる技術者が欲しいと思っていました。しかし、私自身の雇用が不安定なのに、人を雇うことなど到底できません。(雇った人の人生に責任が持てません。)そのため、会社では積極的に人を雇用し、新しい研究開発へ積極的に挑戦したいです。もちろん、会社が安定的に売り上げを出している必要があるので、軌道に乗るまでは私が命を削って働きます。今年の目標は人を雇用できるくらい会社を安定化させることです。

 

まとまりがない文章になってしまいましたが、以上が設立の経緯やモチベーションです。大学人として教育には絶対に手を抜きませんが、起業家としても社会に貢献できればと思います。お客さんとして弊社にご興味がある方はこちらを参照の上、ご連絡ください。もしくは仲間として参画されたい方も大歓迎です!ぜひご連絡ください。

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